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気が付けば、貴方を目で追い、貴方と話せるだけで舞い上がる私がいた。だけど、貴方にはきっと、バイトの店員としか映らないでしょう。
とあるお洒落なカフェに勤めて、もうすぐ3年が経ち、春からは進学の為、この街を離れる。
そして、このカフェも卒業予定。名残惜しい。地元なら、あと4年は勤めていたかもしれない。しかし、やりたいことがあるからこの街から出て新生活を送る。心残りがあるとすれば、このカフェに勤める社員の彼に片想いして、この想いを伝える勇気がないこと。
伝えても、きっと振られるのが目に見えている。だって彼には、同じ社員で、清楚系で、綺麗めな社員のお姉さんと付き合っていると噂がある。美男美女カップルと言われている。
傍から見てもお似合いの二人に入り込む隙なんてあるわけがなく。つい、溜め息が零れる。
「ハァ~」
「溜め息吐くと幸せが逃げるぞ。」
ビクッとし、振り返れば、片想いしている彼がいた。
「早坂さん?!」
「客が見てないから良いもの。こんな姿見たら、お客様に失礼だろう。それに山瀬さんは若いんだから、溜め息なんか吐くなよ。」
カウンターで、堕落した姿を目撃され、軽く叱られる。溜め息の理由が貴方なんですとは流石にいえない。
「早坂さんだって、若いじゃないですか。私にだって悩みはあるんですから。」
とつい生意気な口を叩いてしまった。
「そうか。でも、シャッキとしろよ。折角可愛いんだから、勿体無いだろう。」
と言いながら、去って行った。
「早坂さんの馬鹿・・・」
小さく悪態つく。自分でも容姿は、中の下くらいかと思っている。だけど、彼にきっと子供なんだろう。
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