29人が本棚に入れています
本棚に追加
「薬草は一角獣が護っています。若い娘でなければ、薬草に触れることも出来ません。けれど、私はこの村から出られないのです。出ようとすると、頭が割れるように痛くなり、息が苦しくなって、手足が痺れて動けなくなってしまう……。村の他の娘たちに頼もうとしても、みな私と同じように村の外へは出られないのです」
途方に暮れたように、娘は吐息した。
「この村には医者がいません。薬草がなければ、明日にでも父は死んでしまうかも識れません」
私は力勁く娘に云った。
「私がお助けしましょう」
「貴方はお医者様なのですか?」
「いいえ、私は医者ではありません。だからお父上の病気を治すことは出来ません。しかしあなたや、村の他の娘さんたちの呪いを解くことは出来ます」
「呪い?」
娘は大きく目を見開いた。
最初のコメントを投稿しよう!