大学生佐藤かおりの場合

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私はあんまり頭の良い方でもないしアルバイトをし始めたら多分勉強に着いていけなくなるだろうと思っていた。しかし、その絵は私には到底買えないものの絵画としてはそれ程高い方では無く売れてしまうのが怖かった。 私はある日、画廊で誰かがあの絵を見ているのを見てとうとう心配になり、焦りと共に 「短期間で稼いじゃえば大学の方も大丈夫だ」 と自分に言い聞かせてキャバクラでバイトを始めてしまった。  ところが、思わぬことになった。私が働くお店のお客に一人の画家がいた。私は絵が好きだったこともあり、この坂本という男に気に入られた。 坂本はその世界ではまぁまぁ有名な画家で、最近では雑誌なんかにも載っていた。私はある日、坂本の画廊に連れて行って貰った。 坂本の絵は流石で、私の絵なんかとは比べるのも恥ずかしいような素晴らしい絵ばかりだった。私はこれまできちんと絵の勉強をしたことが無いと彼に言うと、彼は私にちょっとずつ彼なりに絵を教えてくれた。私はとうとう坂本の絵に魅せられ彼と付き合うことになった。  私は彼に教わり少しずつではあるが自分の絵がうまくなっていると実感できてうれしかった。ところが四か月程経って彼の様子が少し変わって来た。明らかに私に対して冷たくなった。     
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