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私はそんな京子を無視して、おもむろにお店の主人らしい男の人のところに行って
「すみません、あの魚の絵を売って欲しいんですけど」
と言った。そして言った後になって、自分には今そんなお金が無いことを思い出して、どうしていいか分からなくなって、自分から話しかけたくせに、もじもじしてしまった。
しかし、突然話しかけられたにも関わらず主人は
「ううん、でもな~買ったばっかりだし気に入ってるしなぁ」
とびっくりした様子も無く普通に答えた。
京子が来て
「あんた、突然何言ってんのよ。だいたいそんなお金持ってんの」
と言ってきた。私は京子の言葉を借りて
「あ、そうですよね、突然こんなこと言ってすみません。えっと、でも、私この絵を見るのが前からずっと好きで、画廊から無くなってしまって、偶然見つけて興奮しちゃって」
と言って立ち去ろうとした。すると主人は妙な提案をしてきた
「ちょっと待って、そうだなぁ、じゃあ君ウチでアルバイトしないかい。今丁度一人探してるところなんだ。そうすれば君も毎日この絵を見れるでしょ。で、その内に譲るかどうか考えるからさ」
私は喜んで引き受けた。
私はこの大したことのないレストランで働き始めた。別に私が馬鹿にして
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