大したことのないレストラン

サラリーマン横田勉の場合

　私はいつも通り、この大したことのないレストランで大したことのない定食を食べている。

レストランのメニューだからそれなりだろうと思うかもしれないが、特別材料にこだわっているわけでもないし、作り方に工夫があるわけでもない。それなら特別安いのかと言うとそうでもない。お店の外観や内装も小ぎれいにはしてあるが特別オシャレでもない。

　私から言わせれば際立った特徴がここまで無いお店というのも逆に珍しい。特徴が無いというのが特徴だ。メニューが豊富かと言えばそれなりだが、珍しいメニューも無く、だいたい何処のお店でも出しているような定番メニューばかりだ。
　コーヒーも自家焙煎とか炭焼とかこだわっているわけでもなく、いたって当たり前のコーヒーだ。お店ではいつも何かしらの音楽が流れているが、いつもビートルズが流れているとかジャズがかかっているとか決まっているわけでもない。
　まぁ、聞いていて煩わしくない程度のジャズとかポップソングなんかがかかっている。

　私は仕事前、仕事帰り、時には休みの日にもここに来ている。もうかれこれ三年以上になるだろうか。