大学生佐藤かおりの場合

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大学生佐藤かおりの場合

 大学の図書館を出て、私はいつも通り近所の大きな公園に向かった。 そう私の唯一の趣味である絵を描くためだ。 最近は池の横に生えている大きな木の絵を描いている。私は別に美大に行っている訳でもないし特別絵がうまい訳でもないのだけれど、何となく絵を描くのが好きでポカポカと晴れた日に公園で絵を描くのは何とも気持ちが良く暇が有れば絵を描いていた。 それに公園で一緒に絵を描いている人とお話をするのも楽しみの一つだ。最近はおじいちゃんが二人とおばさんが一人よく私と同じ場所で描いている。一人のおじいちゃんは私からすると、まるでプロの画家の様な素晴らしい絵を描く。けれどおじいちゃんはいつも私の絵を見て 「ああ、いいなぁ、俺もこんな絵を描きたいなぁ」 なんてことを言っている。でも誰がどう見てもおじいちゃんの絵の方がずっと良いのに。 私は若い女だから褒めてくれているのかな、などと少し捻くれたことを思っていた。  そんな私には最近欲しいものが一つあった。それは時々見に行く画廊に置いてある一枚の魚の絵だった。でも私はアルバイトもしていないし、そんな高いものを買う余裕は全く無かった。     
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