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長机を挟んで仁王立ちする三獄君は、改めて見るとあまり背が高くない。横に並んだら私と同じくらいだろうか。野球部に入っているというのに、その体付きはお世辞にも引き締まっているとは言えない。ちゃんとトレーニングしろ三獄。
「放課後は図書室にいるって、本当だったんだな」
「それ、誰に聞いたの」私のプライバシーが漏洩している……!
「サキ。吉沢って帰りの会終わってソッコー消えるけど何やってんの、って聞いたら教えてくれた」
サキちゃんは、クラスで良くも悪くもかわいいの代名詞的な女の子だ。私はちょっと苦手な子だ。三嶽君ってサキちゃんと仲良かったかなぁと考えて、そういえば、と思い当たったことを口にする。
「そっか。サキちゃん、部長の桃田先輩と付き合ってるもんね」
三嶽君の目が見開かれて、私はうろたえた。何か地雷を踏んだに違いない。
「お前、どうしてそれ知ってんの。俺、部長から口止めされてるんだけど」
密談でもするみたいに囁いた。私達の他に誰もいないのに。
ともあれ、ヤンキーの手に引き渡されるような惨事にはならなそうだ。
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