マイルドヤンキー・ゴシップ

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 三嶽君が私を探してわざわざ図書室に足を運んだ理由。はっ、まさか。 「お金なら持ってないよ……?」  クラスでおとなしい文学少女と認知されている私だ。格好の的に違いない。 「バカ、カツアゲなんかしねえよ」  だとすると、もう一つの可能性は。 「じゃあ、まさか、体……?」 「お前、普段そういう本読んでんの?」  己を恥じた。よもや、三嶽君に冷ややかな眼差しを向けられようとは。深窓の令嬢への道は遥か遠く、そして険しい。私の感覚で、深窓の令嬢に一番近いのは薄葉さんだ。「好きな花は」と問えば、きっと「なでしこ」とか「コスモス」と、かわいくて清楚な花の名を挙げ、片や私は「彼岸花」「クロユリ」なんて答える。  白百合であらせられる薄葉さんを目にしようと校内をうろつくならまだしも、私が探される理由なんて皆目見当がつかない。  三嶽君は、向かいのイスにどっかりと腰を下ろした。何のサービスのつもりか、腰パンのせいでトランクスが見えた。赤のタータンチェック柄だった。
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