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ドーム状に広がったモニター。そこで、AIナオ、30歳のCGキャラが手を広げた。
服が乱れて、つられて胸が上下に揺れた。
何か、みんなにアピールするようだ。
「ああーっ、ジョーイが行っちゃった。寂しいね。暴走AIの退治なんでしょ。私も消されるのかしら?」
50代の男性、山城店長がルームの中心を歩きながら、
「ナオは大丈夫だよ。あの女に『人類を救うのは今しかない!』、それに『戦えるのは君だけだ!』なんて言葉に騙されるからだ」
ナオは、
「ガー、さびしーっ。ジョーイ無き後、ミヤギさんの体は、スキャンルームに横なったままだよ!」
ニーナは、
「心臓は動いていますが、意識がない状態です」
スタッフが一斉に、右奥のスキャンルームに目を向けた時、
ギーッ
と、ルームのドアが開いた。
中から初老の男が出てきた。
抜け殻のはずだった、大富豪のミスター、ミヤギだ。
「この世に、戻してもらった」
「おーっ、ミヤギさん。今度は、本物ですね!」
と、秋山は彼と握手を交わした。
「確かに、口調が変わりました。本物に間違いありません」
と、ニーナが断言した。
「ええ、もちろん。三途の川で老人にお願いして戻してもらった。質問攻めにしても結構」
山城店長が両手を挙げた。
「やった。このビルが立て直せる。それに、私も1億か、数億、もらえるはず。刑務所も入らずに済む!」
「みんなも確か、1億円はもらえる約束だったわ。ディズニーにも行けるわ! それも貸切で」
と、サユリが叫んだ。
「ええ、全て用意しましょう」
と、ミヤギの声はしっかりとしていた。
「わーっ」「きゃーっ」
スタッフルームに歓声が響いた。
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