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趙萬年が十八歳と年を明かせば、多くの者は驚く。大きな目と柔らかい形の頬や顎がいけない。日に焼けてもすべすべした肌と、少しも嗄れずに太くならない声のせいもあって、せいぜい十五歳といったところだ。
なかなかの美少年だと、金持ちの寵童に求められたことが一度や二度ではない。そのたびに趙淳や趙滉が割って入る。趙淳は穏当ななだめ方で相手を説得するが、趙滉はいささか質が悪い。いつものきまじめな顔で、これは私のものだと公言して相手を黙らせる。
趙淳の言伝を告げた趙萬年たちに神馬坡でのんびりとする余裕はない。趙家軍から魏友諒に兵士の貸し出しを提案したが、魏友諒は、ありがたいと言いつつも断った。
「むしろ逆だ。仲洌殿、阿萬よ。我が魏家軍の先駆けを務め、襄陽まで導いてくれぬか?」
「魏帥はどうすんだ?」
「儂は殿だ。安心しろ。必ず明日の朝日が昇るまでに襄陽に合流する。出来の悪い弟分に留守を預けてもいるしな。何にせよ、金賊は、日が落ちれば一度退却するはずだ。趙家軍は金賊の退却を追撃する形で突出し、道を拓いてくれ」
「わかった」
日没は目前に迫っている。西の空はいつの間にか赤い。爛れるような色をした太陽が土塁の向こうに姿を消さんとするところだ。
趙萬年は唐突に、今日は何も食べていないと気が付いた。
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