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趙淳は伝言を聞きながら、女の出で立ちを上から下まで観察していた。無理もない、と趙萬年は思う。趙家軍も魏家軍も、居合わせた者は皆、女の異装に目を奪われている。
女は、髪の結い方も服装も、腰に提げた剣と弩も、脛まで覆う革製の六合靴も、何もかもが男の装いだった。傷のある顔に化粧っ気はうかがえず、六合靴の足は巨大で、纏足をした女の足の三倍もありそうだ。
完全に男の格好をしていてもなお、女は、匂い立つように女だった。年の頃は二十歳を二つ三つ過ぎたあたりだろう。並の男よりも大柄で顔に傷があることを除けば、ひどく美しい。
趙淳が咳払いをし、女に応えた。
「旅撥発官からの伝言、確かに聞き届けた。武器庫で作業していた者は穀物庫に回るようにと、この趙伯洌からの指示を旅撥発官に伝えてくれ」
「かしこまりました。兄に伝えます」
「兄だと?」
「はい。あたしは旅翠。旅世雄の妹です。あたしは見ての通りの大女で、力も強いものですから、日頃から船乗りの兄の手伝いをしています。翠瑛、と字で呼んでもらえたら嬉しいです。御見知りおきを」
「了解した、翠瑛。今、俺たちには味方が足りねえ。働ける者にはどんどん働いてもらいてえんだ。よろしく頼む」
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