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ボクの名前は解良トク(カイラトク)。 中学2年生。 いたって普通の中肉中背男子だ。 ボクのいたって普通の毎日に割り込んできたのが、先週富山県から引っ越してきた解田カイト(トキタカイト)。 好きな食べ物はアイスクリームとチョコレート、好きな教科は数学、好きな虫はナメクジ、将来の夢は心理カウンセラー。 なんだかボクとは全く気が合いそうもない。 しかし転校してきたその日、5時間目の数学の授業で一躍人気者になる。 とにかく計算が速い。 一次関数、連立方程式、全てにおいて解くのがダントツに速い。 みんなから絶賛され、解田くんはクラス中から一目置かれる存在になり「マスター」と呼ばれるようになった。 「おはよーマスター、今日の宿題のプリント見せて!」 「ねぇマスター、次の問題俺指されるんだけど答えこれであってる?」 数学の授業前や授業中にこんな会話が飛び交う様になった。 とは言ってもボクの毎日の生活には対して差し障りのない光景で、そんな様子を窓際の後ろから2番目の席からぼんやりと眺めているだけだった。
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