4、上手くいかないこともある

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「今は、パーカスでお世話になってます」 「そうだね、コンクール終わるまではね。あ、でもクラは練習はじめといてもいいかな。ねぇ」  ギャルは室伏さんに同意を求めた。 「そうですね、分かりました」  それで会話はおしまいだった。「じゃ、そういうことで」とギャルはさっさと楽器をケースに収めると、音楽室を出ていった。  室伏さんの顔をうかがう。ふう、と室伏さんは息をついた。 「明日までに、余った楽器で使えそうなやつ探しとくね」 「えぇっと、誰に教われば」 「多分、私が教えることになる」  淡々と室伏さんは言った。 「なんか、ごめん」  忙しそうなのに悪いなと思ってしまった。実は、私が入部することって迷惑だったのだろうか。さっきのギャル先輩の態度にしても、歓迎しているようには見えない。 「えっ、謝らないでよ。大丈夫だから! 私教えるのは得意だよ」  首をかしげてにこりと笑ってくれた。でも、本心は分からない。  室伏さんは、いつも優しいから。なんだか室伏さんの、手入れしているのか分からないぼさっとした髪や、上まで止めたシャツのボタンが、今日はやたらといらいらしてしまう。  頑張ろうと思っていた気持ちが、急にしぼんでいくのを感じた。
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