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駅前のコーヒーチェーンで、友美と向かい合う。
「昨日、というか、最近はごめん」
うーん、と友美はうなった。でも髪は触っていない。それに勇気をもらって、思い切って、話し出した。
「実はさ、部活に入ったんだ。だから放課後遊べなかった」
友美は目を丸くした。「いつ? 何の部活、何で急に?」と矢継ぎ早に聞く。
「えーっと、まず、吹奏楽部に入った」
「へぇぇ。え、音楽好きだっけ」
「音楽は別に興味なかったんだけど。ま、なんかピンと来てね」
恥ずかしくなって、私は目をそらして目の前のフラペチーノをすすった。
「すごっ。ヤコが吹奏楽とか。楽器とか」
ばかにされるかもと思ったのに、友美は本気ですごい、と言ってくれているようだった。それで少し、気持ちが楽になる。
「全然すごくないよ、希望の楽器は、クラリネットって言うんだけど。まだ一度も触ってなくて。今太鼓やってるんだけど、それも簡単そうに見えて、すごい難しくてさ」
「うんうん」
なんか興味津々。言ってみてよかった。
「でね、上手くできないし。やりたい楽器の先輩は、なんか感じ悪いし、私なんかがいても迷惑かもとか思いはじめて」
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