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友美に謝るはずが、いつの間にか私の相談になっていた。それでも友美は、「そうなんだ」と、親身になって聞いてくれていた。
「で、今日の練習は」
「あー、今日は休んだ。だって、友美と仲直りする方が大事……」
「だめじゃん!」
いきなり友美が叫んだので、周りの客がこちらを一斉に見た。私は、しぃっと友美を黙らせようとしたけど、友美は止まらなかった。
「せっかく、やろうと思ったのに。そんな簡単にあきらめちゃだめだし。そういうのって、練習休まない方がいいんじゃない?」
「だ、だけどさ」
「ヤコ、ただでさえできないんでしょ。人よりやんなきゃなのに、休んでどうするの」
「でも、もう放課後遊べなくなっちゃうの? それでいい?」
「私のことなめんな」
友美はばんばん机を叩いた。
「ヤコがやりたいこと見つけて、やるならそれが嬉しい。なんかいいなって思う! だからさ、ちゃんとやりなよっ」
友美は私の手をぎゅっと握って来た。手が熱い。さっき机を叩いてたから少し赤くなっている。
「やってよ、ヤコ。私に演奏聴かせて」
「わ、わかった」
圧倒されながら、私はうなずいた。
「今から行きなって」
友美に鞄を渡されて、私は立ち上がった。
「うん、今から練習行ってくる」
「行って来て! あまりは私が飲んどく!」
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