5、不真面目な友達と私の作戦

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 走って学校まで戻る。まだ、合奏時間にはなってないはずだ。根本先輩は、怒っているだろうか。入ってすぐに投げ出して。  でも、気持ちは楽になっていた。友美はちゃんと分かってくれた。私以上に、私を応援してくれた。嬉しい。すごく嬉しかった。私も決めたならちゃんと頑張らないと。  校門をくぐると、グラウンドでは運動部が走ったり、ボールを蹴ったり、準備運動をしたりしている。その間を縫って、靴箱を通りぬけ音楽室へ向かう。  大丈夫。まだ、曲は鳴っていない。そう防音設備もない教室だから、合奏していたら響いて来るはずだ。よく聴けば、それぞればらばらに吹いている音が聴こえていた。  そっと音楽室の扉を開けて、滑り込んだ。隅を通りながらパーカスのある一番後ろまで進む。大太鼓が、もうセットされていた。 「すみません、遅れて」  ティンパニーを打ち鳴らしている根本先輩に話しかけると、「あれ」と先輩は言った。 「今日休みなんじゃなかったの?」 「でも、来ました」  はぁはぁ息をしていると、ふっと笑われた。 「そっか。じゃあ頑張ろう」 「はい」  急いで鞄をおいて、大太鼓の前に立つ。ダンッと一回打ってみた。手に振動が響く。なんだか、いい音が出ているような気がする。いいかもしれない。  息を整える間もなく、仙人が準備室から現れた。もう合奏の時間だ。危なかった。  とんとん、といつものように仙人が棒を叩くと、みんなが練習をやめてしんとなる。さっと仙人が棒を振り上げるのに合わせて、私もマレットを構えた。
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