2、神様女神様、やっぱりやります

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2、神様女神様、やっぱりやります

 日に日に、あの曲が私の中で大きくなっていく。ずっと頭の中で鳴っていて、あの音を求めている。友達と喋っていても、授業中居眠りしていても、あの曲はやむことがなかった。  吹いてみたら、どんな風に感じるんだろう。  室伏さんのあのきらきらしたクラリネット。あの赤くなった顔。きっと、聴くのとは違うものがあるんだと思う。だけど。私は妄想を振り払おうとした。  私なんかが楽器を吹けるわけない。何しろ楽譜を読むのもやっとなんだから。それに、部活なんて真面目な生徒がやることだ。 「ヤコ、今日カラオケに行かない」  私と同じように不真面目な子、友美が声をかけてきた。今日も丁寧に髪の毛がまかれている。外見には無頓着な室伏さんとは正反対だ。私はちらりと室伏さんを見る。机にかじりついて、何かを熱心に書いていた。 「ねぇ、行くの、行かないの」  友美が巻き毛を指でくるくるしながら聞く。ちょっとイライラしているときの、友美の癖だ。 「んー行く」  どうせ暇なのだ。行くに決まっている。行かなかったら何をしていいか分からないから。
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