佳奈の部屋

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 父の予言通り、佳奈は上京して数ヶ月で声優デビューする幸運をつかんだ。そして次々にオーディションが通り役がつき、ついにはヒロインや主人公を演じられるようになった。  ところが重要な役がつき始めたころから、嫌な夢を視るようになった。  それが先ほど視たような誰かを殺そうとしている夢だ。これはただの夢ではない、なぜなら実際に夢に出てきた人物が怪我をしたり最悪の場合は亡くなって降板するからだ。  そして降板した役が佳奈に回ってくるのだ。   もう、ムリ……  佳奈は枕元に置いていたスマートフォンに手を伸ばした。   舞桜さん、また夢をみました。   とても怖いです、やっぱり霊能者さんを紹介してください。  SNSで舞桜の助けを求める。  討ち入りの店を舞桜と共に出た後、マックで『座敷童子』のことを彼女に打ち明けた。  どうせ信じてもらえないだろうと思っていたが、独りで抱え込むのに疲れていたし、舞桜なら信じなくても笑いに変えてくれそうな気がしていた。  意外にも彼女は真剣に佳奈の話しに耳を傾け、それなら良い知り合いがいるから紹介すると言ってくれた。  紹介するのは姉妹で声優をしている御堂刹那で、妹の影に隠れて余り目立ってはいないが副業で拝み屋をやっている。舞桜は実際に刹那が浄霊をするところを見たと言っていた。     
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