稲本団地

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「デーヴァのオーディションも受けていたみたいね、顔は合わせていないと思うけど」  朱理は緊張していてほとんど誰がいたか覚えていない。 「姉さんが受けるなら、わたしも手伝う」  刹那は微笑(ほほえ)んだ。 「ありがと。でも、今回はお互い事務所を通してないからお金も出ないし、正式な『副業』じゃないから」 「久々に会いたいから、わたしもいいでしょ?」 「ん~、じゃあ甘えちゃおうかな、一緒に行こう」 「うん! 舞桜さんに会えるの楽しみ」  いい思い出とは言えないが、舞桜は一昨年の事件を乗り切った仲間だ。 「そうだね」  朱理は刹那に見送られ、郡山から(りん)(こう)してきたLivのTEMPTで4㎞ほど離れたショッピングモールに買い出しに向かった。
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