新川土手

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 もっとも声が聞こえても会話が通じるとは限らない、魔物には知性の高いモノと低いモノがいる。  そしてこの魔物たちは知性が高いとは思えない。ただ気になるのは、   実体化してる。  この魔物を朱理は肉眼で認知していることに気が付いた。   まだ他にもいる……  さらに、草叢の中にあと二体の魔物の気配を感じる。   全部で五体……  これほど多くの魔物は一度に見たことすらない。  朱理は恐怖を抑え付け戦いに集中しようとした。叔父がよく言っている、気持ちが負けていては絶対に戦いに勝つことはできないと。  魔物たちがジリジリと間合いを詰める、草叢にいる二体も強い殺気を放つ。  朱理は炎の刃を消した。  次の瞬間、一斉に魔物が朱理に襲い掛かる。 「ノウマク・サンマンダ・バザラダン・カン!」  不動明王真言を唱えると朱理の周りに炎の壁ができた。  ゲーッ!  飛んで火に入る夏の虫のごとく、五体の魔物が焼かれる。  ところが斃せたのは先ほど傷つけた一体だけだ。  力尽きると魔物は身体が(ちり)(あくた)となって消える  残り四体は身を低くして朱理を取り囲む。  知能は高くはないが、獲物の狩り方は知っている。朱理がこの状態をそう長く維持できないことを察しているのだ。だから彼らは待っている、彼女が力尽きるのを。     
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