65人が本棚に入れています
本棚に追加
もっとも声が聞こえても会話が通じるとは限らない、魔物には知性の高いモノと低いモノがいる。
そしてこの魔物たちは知性が高いとは思えない。ただ気になるのは、
実体化してる。
この魔物を朱理は肉眼で認知していることに気が付いた。
まだ他にもいる……
さらに、草叢の中にあと二体の魔物の気配を感じる。
全部で五体……
これほど多くの魔物は一度に見たことすらない。
朱理は恐怖を抑え付け戦いに集中しようとした。叔父がよく言っている、気持ちが負けていては絶対に戦いに勝つことはできないと。
魔物たちがジリジリと間合いを詰める、草叢にいる二体も強い殺気を放つ。
朱理は炎の刃を消した。
次の瞬間、一斉に魔物が朱理に襲い掛かる。
「ノウマク・サンマンダ・バザラダン・カン!」
不動明王真言を唱えると朱理の周りに炎の壁ができた。
ゲーッ!
飛んで火に入る夏の虫のごとく、五体の魔物が焼かれる。
ところが斃せたのは先ほど傷つけた一体だけだ。
力尽きると魔物は身体が塵芥となって消える
残り四体は身を低くして朱理を取り囲む。
知能は高くはないが、獲物の狩り方は知っている。朱理がこの状態をそう長く維持できないことを察しているのだ。だから彼らは待っている、彼女が力尽きるのを。
最初のコメントを投稿しよう!