ソーダの飴

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だから誤魔化すように 「はるくん、飴ちょうだい。」 あたしはオネダリして口を開ける。 すると慣れたように君はカバンの中からソーダ味の飴を取り出し口に放ってくれる。 まだ学校を出てすぐだったので近くにいた同じ学校の生徒達が呆気に取られているのが横目でわかる。 これは牽制。 あたしがお願いしたら君は何でもしてくれる。 多分私が付き合ってと言えば付き合ってくれるだろう。それくらい君は私に依存してる。 でも、それでは納得行かない。 『 この飴好きだね。』 そう言って君は、私が食べたのと違う溶けた飴を取り出し口に入れる。 そう。君が食べるのは溶けた飴だけ。 君はあたしに色んな飴を食べて欲しいのか、飴を何種類も毎月購入する。 でもそんなに毎月購入していると、消費しきれずに飴は溶けてしまう。 特に今はもう初夏。飴は溶けやすいのかもしれない。 ジリジリと太陽に照らされて、特に運動せずとも身体は汗をかく。 「熱いね。」綺麗な顔を歪めながら長い指で汗を抑える君。 私は、汗さえも綺麗に見える隣の君に見蕩れる。 この人を早く自分の"モノ"にしたい。 綺麗な君をみてもそんな邪な考えしか出てこないのはどう考えても君のせい。 こんなイケメンに特別に優しくされて堕ちない女なんているわけないから。 依存してるのは君か、はたまた私か。 そしてこの太陽に溶かされるのは、飴が先かそれとも私の心を抑える緊張が先か。
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