＊SNOW＊

＊１＊

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どうやらカウンター側から出入口に回り込めるらしい。まじか…。
ここまで来たら、ストーカーに近い。ちょっとした恐怖だ。
思わず身じろぐオレに、彼女は見上げて満面の笑みを向ける。どんな攻撃を仕掛けて来るのかと体が強張った。

…が、オレの予想に反して、彼女は何もして来なかった。

ただただ必然的に起こってしまうのであろう上目遣いで笑顔を振り撒いて、オレにこう告げる。

「うち個人店ですけど、品揃えは豊富な方なんです。でもマニアックな人には物足りないかもしれなくて…。だから。もちろん取り寄せとかも出来ますので、何かあったらいつでも仰ってくださいね」

完璧なまでの、セールストークだった。思わず「ありがとうございます」と律儀かつ丁寧に返事をしてしまったくらい。これも新手のアプローチ方法なのだろうか。

店を出るときは、きちんと「ありがとうございました」と言われ、駐車場に追っかけてくる様子もなく、車のナンバーを確認されている感じもしない。

最後は普通の店員だった。

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