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「私も」と言ってサイダー缶を持ってきて、俺の横に座って飲み始める。
「温泉、どうだった? お風呂が好きなんだね」
「ええ、お風呂が大好きなんです。前のマンションのお風呂が気に入っていました。大きくて足を伸ばせて最高でした。いつも長い時間入っていました。お風呂に浸かっていて眠ったこともあります」
「そうか気が付かなかった。お風呂が好きだと初めて知った。今度のマンションのお風呂も広くてよかったね」
「良いところを選んでいただけて感謝しています」
結衣が身体を寄せて来るので思わず抱き締めると、もう我慢ができなくなった。結衣を抱きかかえて寝室に運んだ。結衣はなすがままだ。今朝、愛し合ったばかりなのに、また愛し合う。
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俺は結衣に膝枕をしてもらって、間近に迫る山の景色を見ている。もう紅葉が始まろうとしている。二人だけの気だるい時間がゆっくりと過ぎていく。お腹が空いた。もう少しで夕食の準備が始まる。
仲居さんに呼ばれていくと、豪華な和食が用意されていた。二人きりの食事を始める。こんなゆったりした食事は初めてかもしれない。それもニコニコした結衣がお酌をしてくれる。たわいもない話がとても楽しい。
「食事が済んだらカラオケに行かないか? 確か設備があるとパンフに書いてあった。結衣の歌を久しぶりに聞かせてくれないか?」
「いいですけど、私も真一さんの歌が聞きたいから行きましょう」
食事を終えて一息つくと、結衣は何を思ったのか服に着替えをして化粧もし直していた。
「どうしたの?」
「絵里香の歌を聞きたいんですよね。それならそれにふさわしい服を着たいと思って」
「ありがとう、それなら俺も着替える」
服を着替えて二人はカラオケがあるというラウンジに行った。個室のカラオケ施設もあったが、ラウンジの舞台の方が良いとそこにした。幸いまだ早い時間なので他に客はいなかった。
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