1.同居人が必要だ!

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7時半にビアホールに着いた。すぐに隆一が来た。いつものビール大ジョッキとつまみのソーセージ、ピザ、サラダを注文した。 「相談の中味を聞こうじゃないか」 「会社から見えるだろう。あの高層マンションへ引っ越したんだ」 「へー、あれは随分高級なマンションだぞ。確かバブルのころに建てられたと聞いたけどな」 「バブルのころは億ションだったと親父から聞いた。それをバブルがはじけたときに親父が友人から頼まれて格安で買ったそうだ。友人が資金繰りに困っていたからと言っていた。今はかなり値段が上がってきて、儲かったと親父は喜んでいる」 「じゃあ、困ることはないじゃないか」 「なんやかやで毎月結構維持費がかかるんだ」 「親父さんが出してくれるんだろう、いいじゃないか」 「親父は俺に払ってくれと言っている。それに固定資産税も払えと言うんだ。維持費の一切合切を俺に払えと言うんだ。結構な額になる」 「前の家賃と同じくらいならそれでもじゃないか? それに会社の近くだから便利だろう」 「もっとかかるから困っているんだ」 「交通費はかからないだろう」 「交通費はかからないが、もともと通勤手当が出ていた。それもなくなったから関係ない」 「確かに交通費は出ないな。あそこはバスも通っていないし、それに歩ける距離だからな」 「何が問題なんだ?」 「金だけでもじゃないんだ。掃除もある。今までは1LDKだから掃除なんて時間もかからなかった。今は200㎡位あるから、広くて掃除する気にもならない」 「200㎡もあるのか、誰かに頼んだらどうだ? 家事代行にでも」 「ああ頼んでみた。結構な金になる週1回でも月4~5万位はかかる。こんなにかかると女の子と遊ぶ金がなくなる」 「それで悩んでいたのか。部屋はどうなっているんだ」 「バストイレ付きのメインルームとほかにサブルームがあるが、これもバストイレ付きだ。リビングダイニングが50㎡くらいある。それにキッチンだ」
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