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「すごいな」
「もともとその親父の友人が会社のビジター接待用に使っていたそうだ。パーティーができるようにリビングダイニングにはおまけにトイレがもう一つある。トイレだけでも3つだぞ。ほかにカラオケができるようになっている」
「カラオケもあるのか、それは一人じゃ使いきれないな」
「まあ、カラオケは練習に使っているが、広すぎる。無用の長物だ」
「売ればいいじゃないか」
「売れば今なら2億近くなると嬉しそうに言っていたが、持っていたいみたいだ。親父は上京した時のホテル代わりに使っている。維持費がかかり過ぎるので俺に何とかしてくれということだ」
「断れなかったのか?」
「最近、経営がタイトになってきているといっていた。親父は俺みたいに東京へ出たかったそうだが、出してもらえなかった。だから東京にマンションが持てて嬉しいみたいだ。俺は東京の大学へ出してもらって、こちらで就職もしたし、我が儘を聞いてもらっている。だから引き受けざるを得なかった」
「サブルームを誰かに家賃をとって貸したらどうだ」
「それも考えたが、プライバシーが心配だ。女の子も連れ込めなくなる」
「女の子とはホテルでいいじゃないか」
「いつもホテルとはいかないだろう。金が持たない」
「じゃあ、気遣いのいらない年配のおばさんにでも貸したらどうだ? だたし、家賃を安くして、時々掃除、洗濯をしてもらう条件なら、いそうだぞ」
「年配のおばさんか? それなら気を遣わなくていいな、ありかも?」
「掃除と洗濯をしてくれて、朝食ぐらい作ってくれれば十分じゃないのか?」
「確かにいい考えだな」
「誰かいれば紹介しよう」
「頼むよ」
相談した甲斐があった。いいことを教えてもらった。要するに同居人を探せばいい。それも掃除や洗濯をしてくれる気遣いの不要な人で、家賃を安くして、光熱水費を半分くらい負担してもらうことで、随分助かる。良い考えだ!
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