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玄関ドアの音がした。地味子が帰ってきた。ほっとしたのはどうしてだろう。部屋のドアをノックして地味子が顔を出す。
「どうでした?」
「よく眠れた。でもまた寝汗をかいたので、下着を交換した。洗ってもらったので助かった。ありがとう」
「それはよかったです。待っていてください。夕食を作ります」
しばらくするとまたドアをノックして顔を出す。
「簡単ですが、夕飯ができましたらから、食べてください」
「ありがとう。ご馳走になります」
ダイニングテーブルには2人分の夕食が用意されていた。
「お腹にやさしいようにうどんにしました。あと卵焼です。簡単ですが消化の良さそうなものにしました」
「うどんはお代わりがありますから、たくさん食べて下さい」
お昼から何も食べていなかったので、すぐに平らげた。うどんは出汁が効いていておいしい。汗をかいたので塩分と水分の補給に最適だ。おかわりをした。それに卵焼きも出汁が効いておいしい。こんな卵焼きは初めて食べた。
確かに簡単な夕食だったが、満ち足りた。地味子は料理が上手い。これなら毎日夕食を作ってもらうのも悪くないかなと思う。地味子がようやく食べ終わる。
「ごちそうさま、おいしかった、ありがとう。身体も温まった」
「病気の時はこのくらいがいいと思います。もう少し良くなったら肉料理にします」
「治るまでお願いできるかな」
「いいですよ。ひとり分も二人分も手数が同じですから。いつも多めに作って冷凍保存していますから、大丈夫です」
「白石さんがいてくれてよかった。でもインフルエンザが移らないように気を付けてくれ」
「早く休んでください。また、熱がでますよ」
そういわれて部屋に戻って、ひと眠りした。夜中の12時ごろに汗をかいて目が覚めた。また、下着とパジャマを替えた。熱を測ると36.5℃に下がっていた。ほぼ平熱に戻った。それから明け方まで目が覚めなかった。
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朝、目が覚めて体温を測ると36.5℃で平熱だ。ただ、身体が少しだるい。出勤しようかどうしようか迷っていると、地味子がノックして顔を出す。
「どうですか?」
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