505人が本棚に入れています
本棚に追加
「夕食ありがとう。今日はゆっくり英気を養えた。明日から出勤する」
「すっかり回復したみたいですね。よかったです」
「それで、お礼をしたいのだけど」
「そう、おっしゃると思っていました。篠原さんは私の好意を受けるのがおいやなのですね」
「そういう訳でもないけど、お世話になったのでお礼はしておきたい」
「借りをつくりたくないのは分かります。それで、お世話した時間を計算しておきました。それと昼食と夕食の材料費を計算しておきました。内訳は洗濯の時間と食事の準備ですが、食事の準備時間は私の食事の準備ための時間でもありますので、半分にしました」
明細をみると3日間で僅か4.5時間の4500円、昼食と夕食の材料費など1350円の合計5850円だった。
「こんなに少なくていいのか」
「実費はそれだけでから、多く貰っても気が引けますから、それだけいただければ十分です」
「分かった。ありがとう。もう元気になったから、コーヒーでも入れてあげよう」
「コーヒーをご馳走になります」
手をよく洗ってコーヒーを2杯作った。飲んでくれてほっとした。今回は地味子には世話になりっぱなしだった。もし、いなかったら、熱のある身体で食事や買い物に出かけなければならなかった。
それに彼女の作ってくれた食事は豪華なものではなかったが、心の籠ったおいしい食事だった。おふくろの飯を思い出した。
こうしてインフルエンザは完治した。幸い、地味子にも感染しなかった。
最初のコメントを投稿しよう!