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彼女は間違いなく俺の趣味ではない。この女子になら絶対に手を出さないし、出したくもない、そういう安全パイに思えたからだ。
彼女も俺に関心はあっても好きになろうとか好かれようとかは思わないだろう。立場が違い過ぎる。そう確信できた。
「相談したいことだけど、今、私のマンションの同居人を探しています」
「同居人を探してほしいのですか? 私に?」
「2か月前に引っ越したけど、広いうえに維持費がバカにならない。だから同居人を探しています。男女は問いません」
「私には同居をするのにふさわしいと思い当たる人はいませんが」
「同居の条件だけど、部屋は10畳くらいでバス、トイレが付いて部屋代は月3万円。光熱水費を月2万円負担していただく。それと週に1回、マンションの各部屋及びトイレ、風呂の掃除と玄関マットや私のベッドのシーツ、枕カバーなどの寝具、バスタオルなどの洗濯をしてもらうことです」
「家賃が3万円は魅力ですね。光熱水費はどこでもかかりますが、2万円は少し高いですね」
「条件は結構いいと思うけどね」
「確かにそうですね。その条件なら同居を希望する人はいると思いますが」
「それで白石さんはどうかと思って」
「私ですか?」
「考えてみてくれませんか?」
「どうして私なのですか?」
「白井さんなら身元も分かっているし安心して貸せるから」
「それは答えになっていないと思いますが」
「じゃあ、はっきりいうけど、白石さんとなら絶対男女の関係にはならないと思うから」
「ええー、そんな理由からですか?」
「君に手を出したりすることは誓って絶対にしない。なんなら契約書に明記しても良いけど」
「おっしゃることは分かりました」
彼女は俺の顔をジッとみたので、見返すと目をそらせた。
「まあ、考えてみてくれませんか? 今週いっぱい。金曜日にでも可否を教えてくれればいいですから」
「そうですか? 考えてはみますが?」
「望み薄かな?」
「金曜日にお答えします」
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