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邂逅と反発の相席
祥吾は出産と同時に母を亡くし、父親は44才で病に倒れ、満琉の父親は35才で事故死、母親は41才で亡くなったと聞いた。
祥吾は父親の死後、17才で西園寺に養子に入り、26才の時に13才の満琉を養女に迎えている。
要が言うように、転生者を産み出した者たちは50才まで生きられないらしい。
コーヒーを淹れながら、葵は足元にしゃがみ込んでいる和希を見下ろした。
カウンターの陰に隠れるように座り込んでいる。
コーヒーを運ぶのを手伝うようにと要に言われ、一緒にカウンターに残ったけれど一言も話さない。
和希の父親と要はテーブル席に着いて何やら話し込んでいる。
俯いてコーヒーをドロップしていると、視線を感じ葵は顔を上げた。
和希の父親と目が合う。
決して優しいとは言えない目つきだ。
眉間のシワは深く、鋭利な刃物みたいに目尻まで研ぎ澄まされた眼光は意志の強さを感じさせる。
偏屈な頑固者、見た目はそれを思わせるのだけれど、その奥に温かい何かがあるのだ。
まるで要の手のひらみたいに、温かさが隠されている。
以前にも、向けられた覚えのある瞳。
「…ねえねえ、和希くん」
「……あ?」
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