キスで遮る秘密

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キスで遮る秘密

口付けは甘い媚薬のよう。 口の中で絡まる舌にとろけて、唾液が混ざり合い、どちらのものかわからなくなる。 快感を予期するような体の疼きに、上昇する体温。 熱い吐息を唇の合間に漏らし、求め合う。 もう何度交わしたであろう口付け。 初めて肌を合わせたあの日から、一週間以上が過ぎた。 二度目は未だない。 腰へと手が回され、服の下に要の手が入り込み、葵は思わず唇を放す。 追いかけるような要の口付けに捕らわれ、葵は吐息を漏らした。 「……んっ」 このまま、流されて二度目を迎えたい気持ちにもなるけれど… 肌を這う要の手がブラのホックを外し、葵は慌てて要の腕を掴んだ。 唇が放れ、間近で視線がぶつかる。 静かな湖面を思わせる冷涼で澄んだ瞳が細められ、僅かな憂いを浮かべた。 端正に整った目鼻立ちに、柔和な雰囲気が優しい内面を垣間見せる。 俗な言い方をすると、甘いマスクの美青年。 何故こんなに綺麗な青年が、10歳近く年上の自分を選んでくれたのか、葵は未だにわからない。 わからないけれど、確かに愛されている。 それは、わかる。 「ごめんね…」 葵は伏せるようにして視線を外し、小さく告げる。 せっかく初めてを迎えたものの、直後に月経がきた。 周期を無視したものだし、痛みも普段より強く、月経の量も多い。 処女喪失の反動なのか何なのか、自分の体に戸惑ってしまう。 「また誘いますね」 要が頬に唇を寄せながら、ホックをかけ直してくれた。 「うん…」 要は手馴れている。 スマートで優しく、紳士的だからそう見えるのかと、思った時もあるけれど、違うのだ。女性の扱いに慣れているフシがある。 実際、本当に18歳なのかと疑った切欠もそこだった。     
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