キスで遮る秘密

3/5
120人が本棚に入れています
本棚に追加
/221ページ
考え出すと陥る負のスパイラル。 「要くん…」 胸のモヤモヤが込み上げて、葵は思わず切り出していた。 「…あのね」 腕を緩め、要の顔を見る。 目が合ってから、顔を見ずに問うべきだったと後悔した。 「なんですか?」 軽く笑みを乗せた優しい表情(かお)。 切り出しておいて、迷ってしまう。 「あのね、要くんって、ブラのホックとか…」 葵は思わず視線を泳がせた。 「扱いが慣れてるから…その、最近までそういう人いたのかな、…って」 「…………え?」 軽い微笑みのまま、要が凍りつく。 「…だって、架南はしてないでしょ?ブラ。どこで覚えたのかな?って……」 「…………………」 かなり長い沈黙に、葵も身構えた。 その葵の頬に要が手を滑らせる。 唇が寄せられ、体を離そうとしたらしっかりと腰を押さえられていた。 唇が重なり、舌が入り込んでくる。 葵の舌を絡め取るように深く深く重なる唇に、背筋をぞくりと快感が走った。 下腹部で熱がくすぶるように、体が熱くなっていく。 たまらなく愛しい、粘膜の感触。 要の腕が背中に回され、抱き締められると一層深く舌が入り込んだ。 舌の裏側を愛撫され、頭の芯がぼやけてくる。 (…………はぐらかされてるの?) はぐらかされるとしたら、言えない何かがあると言うことで………… こんなキスも、架南ではない誰かとしていたのだろうか。 考えがまとまらない…………    
/221ページ

最初のコメントを投稿しよう!