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「ってぇ・・・。おい、死んだか?しょうがねえな、この辺に埋めてやるか」
「死んでねえよ!綺麗なお目目ぱっちり開けてるだろうが!!」
「綺麗なお目目ってなんだ?相変わらず馬鹿丸出しだな。俺がここまで運んでやったってのに」
「俺知ってんだからな。あいつらにぶっ飛ばされたことくらい分かってるから。記憶に残ってるから」
「で、なんなんだ?あいつら。全部話せ。俺が魔法使えるように戻したことも含めてな」
男の鋭い目つきに、空也は何も分からない子供のように笑って見せるが、その笑顔が気に入らなかったのか、思い切り鳩尾を殴られた。
しばらくお腹を抱えていた空也は、苦しんでいるのかと思えば、喉で笑っていた。
「久しぶりに会って改心したかと思えば、変わってねぇなぁ、ジンナー」
「・・・・・・」
以前、個人的な恨みから魔法界に襲いかかり、結果として魔法界を追放、魔法も使えなくされてしまったジンナー。
それがどういうわけか、こうして魔法を扱えるようになっていて、ここへも戻ってきていた。
「てかイメチェン?なんで切ったわけ?」
「別にいいだろ、俺が決めることだ。それにお前だって短くなってんじゃねえか」
「やだ!ジンナーってば俺のこと好きなの?俺が髪切った事なんで知ってるの!?」
「・・・お前、そんなに面倒臭い奴だったか?」
「ジンナーこそ、ノリ悪くなったか?」
そんなこんなで多少世間話をした後、空也はどうしてこんなことになっているかの説明を始める。
そもそも国王、つまり空也の父親はどうしたのかという質問に関しては、生きているし、妃様、つまり空也の母親と旅行中だというのだ。
結婚して何十年か経ち、せっかくだからということで出かけたようだ。
そしてその旅行中、国王代理として空也が渋々その椅子を引き受けたようなのだが、そんなときに攻められるなんてムカつく、と言っていた。
「で?あいつらは?」
「初見だな。でも、あの厭味ったらしい短い髪の奴はビノスで、変な髪色してた奴はレードンっつったな。あいつらお互いをそう呼んでたから多分」
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