いつもの三時

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昔はがむしゃらにボールを追いかけていたのに、今ではゲームのコントローラーを握り、相手の操作するキャラクターを追いかけている自分に嫌気がさす。  僕たちの通う中学にも当たり前のようにサッカー部はある。 でもあるだけだ。学校の決まりで必ずどこかの部活動に所属しなくてはいけないので、とりあえず入部した人が溢れかえっている。もちろん練習なんてない。 部室は先輩たちが占領し、ゲームを持ち込みやりたい放題やっていた。 顧問もバレないようにしろよ、と特に注意する訳ではなく、サッカー部は事実上存在しないものだった。  僕はそんなサッカー部の現状を目の当たりにし、幻滅したのを今でも忘れない。 それでも自分がその部を変えればいいと思い、最初は同級生を集め練習をしたりしたが、結局それも長くは続かなかった。 みんな先輩たちのように、サッカーよりも画面の中の敵を倒すことに夢中になっていく。 「大地もさ、サッカーなんてやめて一緒にゲームしようぜ」  友人から掛けられる言葉に「僕はサッカーがやりたい!」と意地を通す事も出来ず、コントローラーを握る。 人の意見に流され、嫌われないように上手く自分を演じ、その場に適した行動を取る。 そんな自分が大嫌いで仕方ない。 「また明日なー」  ゲームのボスを倒す頃、時刻は既に十七時を過ぎていた。     
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