いつもの三時

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明日は新発売のゲームをみんなでやる約束をし、僕らは友人の家を後にした。 ザクザクと雪を踏みしめると徐々に靴の中が湿る。 冬の冷たい風は頬を逆なで、僕は身を丸めながら家路を急ぐ。  僕の家は母校である小学校の近く。 大きなグラウンドにある長い石段を登り、校舎を横切り、学校を抜けるとすぐに家が見えてくる。いつものようにグラウンド側から軽快に石段を登る。 普段はサッカーや野球で賑わっているグラウンドも、今日は真っ白な雪で覆われ、静寂なグラウンドになっていた。 こんな天気だからどこのチームも休みなのだろう。 そう思った矢先、雪の上を力強く走る人影が目に入った。  身長は僕よりも少し高いだろうか。 見た目は大人びて見えるが、高校生のようにも見えない。 近所の子供ならすぐに分かるはずなのだが、彼はどうも見覚えが無い。 どこか違う地区から遊びにでも来たのだろうか。  大きく蹴り出したボールに向かって走る彼は、僕の前にあるサッカーゴールに向かってシュートをしようとしている事はすぐに分かった。 ボールに追いついた彼は、左足で踏ん張り右足を大きく振り上げる。 そのまま勢いよく蹴ったボールはゴールの枠を大きく外れ、なぜか僕の方へと飛んできた。 「危ない!」  そう叫ばれた時には既に遅かった。     
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