兄を待ちながら

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次のバスまであと40分もある。土日ダイヤだ。ついてない。 その数分後、雨の中を駆ける足音が近づいてくるのが聞こえた。 転がり込む様にバス停に飛び込んでくる者。 「ひゃー!」 そう言いながら走りこんできたのは、あいつだった。 同じクラス。陸上部。練習着の形で焼けた小麦色の肌。日焼けしていない部分の白い肌。その鮮やかなコントラスト。ガサツな言動と行動。他人の行動については良しも悪しも、チャラくあっけらかんとしていて、そのくせ自分はどうでもいいこと(例えば朝、黒猫が視界に入ったとか)でションボリする、その気分の浮き沈みの激しさ。歯を見せてめいっぱい笑う顔。クラスの中心で自然にリーダーシップを発揮している一軍の癖に、わたしなんかにもたまに声をかけてくれる優しいところ。棒高跳びのフォーム。その滑らかさ。滞空時間。下降中にユニフォームの隙間から見える背中。そう、わたしは、こいつのことが大好きだ。友達としてじゃない。恋心として。本当の意味で好きだ。しかし未だ伝えることは出来ないでいた。 そして、この偶然かつ幸運な状況を、思考がさらに状態を悪化させる。 因みに脳内は、こんな感じだ。 ■□■□■□■□ (屋内トレーニング?)  ⇔  (この声好きだなあ)     
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