3.日常に潜む異変

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 ああ、ちなみに僕の名前は……っと。  そういえば一つ、藤見大雅について重要なことを言い忘れていた。  昨日の放課後、唯川凪咲が「この中の誰かが四日後に自殺する」と言って僕に提示した三人。その中の一人が……そう、この男、藤見大雅なのだ。  僕は藤見の顔を見上げて、じっと観察した。  お気楽なお調子者、クラスでは人気もある。バスケットボール部では期待のルーキーだとかなんだとか言われているし、二週間前までカノジョもいたとか。  まさかカノジョに振られて自殺……?  僕は大きく首を振った。馬鹿な、そんなことで死ぬような男ではないだろう、こいつは。  自殺するクラスメイトがこいつである可能性は、限りなく低い。僕はそう判断した。というかありえないだろう、よって三人の中から除外だ。  問題は残り二人なのだが……。  考えながら歩いていると、一年四組の教室まであと数メートルという廊下で、突然藤見が立ち止まった。 「なあ、学級委員さんよ」 「あん? なんだよ、僕は今考え事を……」  言いかけて、僕も違和感に気がついた。目を見張る。どうなってるんだ、これ? 僕は言葉を失った。うちのクラスの前に、ゆうに二十人は超えるであろう人だかりができていた。 「なんだ、あれ……」 「俺も知らねーよ、四組でなんかあったのか?」  僕と藤見は急ぎ足でクラスへと近寄った。人が多すぎて、背の低い僕には教室の中が見えない。けれど分かる。何かとんでもないことが起きているのだ、などということくらいは。
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