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「お腹すいたよね? 食べよ」
いびつな形のおにぎり、多分彼女が作ったのだろう。美郷は僕の為にわざわざ家に帰り、これを作って来てくれたのかと思うと、胸が締め付けられるように痛くなった。
「美味しい?」
「うん」と言えばいいのに、僕は大きく頷いただけだった。
まだ暖かい、カツオのふりかけがかかってあった。
「次は何して遊ぶ?」
おにぎりを食べ終わった美郷がゴミを片付けながら言った。
なんだか焦ったそぶりだ。
なぜそんなに慌てて遊ぼうとしているのだろう。
それは僕のことが好きだから?
ぼうっと考えていたら、頭に軽い衝撃を受けて我にかえる。
僕の顔くらいのゴムボールがおでこに当たって跳ね返っていた。
「やぁーい」
美郷が憎めないのに意地悪そうな顔で笑っていた。
「やったな」と言わんばかりに僕はそのボールを取りにベンチから飛び降りた。
ドシャ
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