一.

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「始業は一○時なのになんで九時に来ないといけないのかしらね」 「そのぶんお金がもらえてるなら私はいいです!」 「確かにそうねえ。お給料はいただいてるものね」  業務時間は、午前一○時から午後八時まで。とはいっても、システム自体はニ四時間動いており、ディーテやシェリーがいなくてもそれらを使うことは可能である。  なので、昼休憩もお茶休憩もあるし、その間他の誰かが交代で立つ……ということもない。  そして週五日または四日、希望の間隔で働くことができる。まさに、福利厚生もしっかりした好待遇の職場。 「さ、今日も笑顔でお迎えするわよ」 「はいっ……」  シェリーにいわれ、笑顔でうなずくディーテだったが、シェリーの肩にいる虫を見て思わず固まる。  エレガントで気品のある、臙脂色の縁が印象的な制服に似つかわしくないものがそこにいた。
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