一.

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一.

 少女はハーフアップにした金髪を風になびかせながら、空気の匂いを確かめるようにまるで犬のように鼻を鳴らした。  彼女のオレンジ色の瞳は整った形をしていて快活な印象を与える。  春らしい穏やかな天気と風が気持ちいい。 「うん、今日は晴れの匂い!」  えへへー、と誰もいないのに嬉しそうに笑うのはディーテという名前の女の子。まだ十八歳と若いが、彼女には大事な仕事がある。 「シェリー先輩もう来てるかなぁ」  そう言いながら玄関を出ると、朝陽の下をヒールの低い靴で足取り軽く、るんるんと道を歩く。  ここは、プラタナスワールドという名の世界に存在する、とある地方。  プラタナスワールドは、ヒト族・獣人族・エルフ族・妖精(フェアリー)族という種族で構成されており、職種も勇者や回復士(ヒーラー)、魔法使いに盗賊と様々ある。  そんななかでも、わりと人口が多く、都会に分類されるこの地方には多種多様な住人が集っている。
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