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「お前、アオが好きなのか?」 それは体育の時間で、良く竹内と一緒にいる矢野斗真に声をかけられて体が固まった。 奏「えっ!何言って..っ!わわっ!…痛ぁっ」 奏は驚きのあまりひっくり返りその場に尻もちをついた。 矢野「くっ…お前わかりやすいな」 矢野は腹を押さえバカにしたように笑う。 奏「ちっ違うよっ!」 もし竹内くんに知られたらっ........!! 慌ててハッキリと否定し嘘をついたつもりだった。 矢野「安心しろ、アオには言わねぇよ」 奏「えっ......」 矢野は意地悪く口元を緩めたままで青い顔の奏の頭をポンポン撫でる。 矢野「まぁその代わり、な」 …代わり? ガコンガコンッ… 奏は今日も自販機の前に立つ。 きっとこんなのをアシと言うんだろうな… あの時から良く飲み物を買いに行かされたり、掃除を押し付けられたり、いろいろと容赦ない。 でも、黙っててくれてるんだからこの位しなきゃ..... しかし、それはだんだんエスカレートしていった。 ある日、いつもの飲み物が売り切れてて何にするか聞くために教室に戻ると矢野と竹内が窓際で話していた。 わっ竹内くん......緊張する...... 奏「やっ矢野くん.....いつものなくて別の何にする?」 奏は竹内の方を見れずに少し背を向ける形で立った。 竹内「お前ら最近仲良いな」 ドキッ! 矢野「べつに。お前も何か頼めば?」 竹内「オレいらないから。 てか、斗真自分で買いに行けよ」 矢野「やだよ、めんどくせー」 奏「あの.....いつも僕行くからついでに買ってるだけで......」 奏は不穏な空気を感じ取り慌てて言い訳をする。 竹内「ふーん......そうなんだ?ありがとうな」 竹内にニコッと笑顔を向けられカァッと顔が熱くなり 居ても立っても居られなくて答えを聞く前にそそくさとその場をあとにした。
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