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ちゅっ.....
唇が離れた瞬間、竹内がキッチンを出て行った。
奏は腰を抜かした様にその場に座り込んだ。
矢野の腕を握った手の震えが止まらない。
矢野「危なかったな」
意地悪くニヤッと笑う。
奏「ひどいよ......」
俯いて呆然としている奏をしばらく黙って矢野は見ていたが、冷蔵庫を開けてコーラとコップを3つ取り、キッチンを先に出て行った。
奏「.........はぁっ」
熱い息を吐く。
疲れた...........。こんな所見られたら矢野くんだって良くないはずなのに本当に何が何だか分からない。
じんじんする唇に触れぐったりと後ろの壁に寄り掛かった。
竹内「どこ行ってたんだよ、今井は?」
部屋に戻っていた竹内はテレビの前でゲームソフトを選んでいた。
矢野「便所」
コーラを開けそのまま口をつけると喉を潤す。
竹内「そういえばさ、斗真が誰かに興味持つの珍しいよね」
竹内はソファに座り、慣れたように戦闘ゲームを始めた。
竹内「今井のこと。違う?」
矢野は黙って腕を組み離れたベッドの脇に座った。
竹内「確かに今井はいい奴だけどさ、なんで?なんかきっかけあったの?1年の頃は俺ら全く接点なかったじゃん」
矢野「別に」
竹内「でも眼鏡取ったら雰囲気変わるからこれから人気出るかもね、俺今日マジでびっくりしたもん」
矢野「..........あんなウジウジしてる奴がそんなわけねぇだろ」
苛立った様に残りのコーラを飲み干した。
竹内「違うって。そこがいいんだよ」
矢野「は?」
竹内「だって守りたくなる感じあるじゃん」
矢野「…男が男に守られるってなんだよ」
竹内「なんか上手く表現できないけど、今までにいない感じで、俺ももっと仲良くなりたいなぁ」
矢野は少し驚いたように見るが竹内は画面に釘付けでひたすらせわしなくコントローラーを連打している。
矢野「お前ホモかよ」
竹内「いやいや、そーゆーんじゃなく。でもあんな可愛かったらなんかそう思えてくるし。なんか色気みたいなのもない?じゃあさ、斗真は今井をどう思う?」
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