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週明け、奏は席に着いてカバンを置くと、他の友達数人に囲まれ喋っていた竹内がすぐ近寄ってきた。
竹内「おはよ、あれ、眼鏡に戻したの?」
奏「おはよう。うん、やっぱり合わなかったみたいで…」
それを答えると次に話しかけられる前に、その場を離れた。
奏「伊藤さんおはよう、これありがとう」
席にいた伊藤に声をかけ、綺麗に洗濯したタオルを取り出す。あの場を逃げ出す口実の1つでもあった。
チカ「おはよう、そのままでも良かったのに。あれから大丈夫?」
ニコッと笑って受け取る。
奏「うん!あとコレ。少しだけどお礼。いっぱい入ってるから良かったら家族や友達と食べて」
奏が差し出したものに伊藤は目を輝かせた。
チカ「わっ!なに?クッキー?ありがとう!!!」
丸かったり星型だったり味もチョコやカボチャを練りこんだりいろんな種類が入っている。
昨日、気分転換も兼ねて焼いたものだった。
手ぶらも悪いしね。
伊藤は嬉しそうに袋を眺める。
竹内「斗真おはよ~っす」
竹内の声で矢野も登校して来たのがわかった。
まだもうしばらく席には戻りたくない。
奏「伊藤さん部活何してるの?あの日怒られなかった?」
チカ「全然っ!私服飾部で自由過ぎる位だから気にしないで」
奏「そっか、良かった」
その時、先生が入ってきたのでホッとして自分の席に戻った。
それから数日、奏は休み時間のたびにトイレに行ったり席を外していた。
さすがに変に思われるかなと思ったけど、それ以上に顔を合わせるのが辛くて、すぐに2人と話せてた時間が遠い昔のように感じるようになった。
竹内「あのさ」
お昼休みになると竹内が話しかけようとして来たのが分かり席を立つとカバンを持ってそそくさと屋上へ向かった。
竹内「あ~っ、もう最悪っ!」
奏が教室を出た瞬間、竹内は倒れ込むように机に項垂れてため息をつきながら自分の頭をクシャクシャと掴んだ。矢野は携帯をいじり黙ったままだった。
危なかった.....
屋上に向かう階段をゆっくりのぼる。
早く席替えないかな。
でも竹内くん....さすがに気付いてるよね。
本当感じ悪いな僕…いっそ嫌われた方が…
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