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チカ「今井くん!」 呼ばれ振り向くと伊藤が息を切らして走ってきた。 奏「どうしたの?」 チカ「屋上行くの?私も行っていい?」 奏「えっ?うん、もちろん」 チカ「じゃあ行こう」 2人で屋上にのぼり、ベンチに座り奏は弁当を広げ、お箸を出した。 チカ「お弁当も今井くんが作ってるの?」 奏「え?」 チカ「この前くれたクッキー手作りでしょ?凄くおいしかった」 奏「あの時は本当に助かったから。あ、でも気持ち悪くなかった?男の手作りって....」 伊藤は目を爛々と輝かせた。 チカ「どうして!?すごいよ、尊敬する!ねぇ良かったら作り方教えて。私好きなのに不器用なせいか本当苦手で」 奏「....僕で良かったら.....」 チカ「よろしくね!」 伊藤はニコッと笑ってお弁当の箸を進める。 奏は少し顔を赤くして頬を指でかいた。 そんな奏と伊藤の姿を矢野は階段の入口で腕を組んで見つめていた。 放課後になると、1番にカバンを持ち教室を出る。 こんなの.......いつまで続くのかな....... とぼとぼと下を向きながら歩き家の鍵を回した。 「なんでお前の方が帰りが遅いんだ」 バッと振り向くと矢野が立っていた。 なっなんで!? 奏は玄関を開け、すばやく中に入り閉めようとすると、矢野が靴を隙間に挟み容易くバンッと開いた。 矢野「お前.....っナメたことばっかしてんじゃねぇ」 ドクン....... ! こ…怖い......... 恐怖に思わずズリッと後ずさりをする。 矢野「何してんのか分かってんのか」 刺すような矢野の視線にギュッと目をつぶった。 奏「もう僕、矢野くんの言う事は聞けない」 矢野「は?」 頬に伸びてきた手をパシッと払う。 奏「もうっ.......竹内くんの事好きじゃないから」 拳が震えるのを抑えきれず壁に押し付ける。 矢野「.........嘘だな」
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