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奏「違うよっ、本当に好きじゃない!!」 普段出さないような大きい声で叫ぶように言った。 奏「だから.........だからもう........僕の事はほっといて。もうこんな事やめてよ…っ」 下唇を噛み締め溜まった涙がポロッと落ちる。 矢野「じゃあなんで泣くわけ?」 矢野の言葉にグッと口をへの字にした。 ...これは......... 奏「これは…怖くて…っ」 目を伏せているとフワッと頭に何かを感じて少しだけ顔を上げた。 顔は見えなかったけど矢野の手が奏の頭を軽く撫でた。 ドクン........ッッ!! 矢野はそれから何も言わず、背を向けて帰って行った。 奏「....っ.......はぁッ」 力が抜けた様にその場にうずくまった。 わけがわからない............. なんで僕に触れるの.......? それにもう矢野くんに振り回されることもないし、知られる前までの日常に戻るだけのはずなのにこの涙は一体........... 嬉し涙とは言えなくて本当に胸が潰されそうだった。 竹内くんに笑ってもらえなくなるから? 矢野くんにもう相手にしてもらえなくなるから? 矢野くんはいつも言葉とは裏腹な優しい手で僕に触れるから頭の中が凄くグチャグチャになるんだ。 分からない… でもきっとこれでおしまい。 サツキ「カナ?」 顔を上げると、サツキが心配そうな顔で覗き込んでいた。 奏「ハハッ.....目にゴミが入っちゃって」 立ち上がり眼鏡を上げると涙で濡れた顔を袖で拭った。 サツキ「俺の前では我慢しなくていいんだよ」 大きい腕でギュッと強く抱き締められ、グスッと鼻を鳴らした。 奏「.....っ.......はぁ…昔からサツキには何でも分かっちゃうね......」 広い背中を撫でながら静かに目を閉じ、身を委ねて泣いた。 あーあ……二人と友達になりたかったな…。
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