2288人が本棚に入れています
本棚に追加
竹内「今井っておもしろいよな」
竹内はハハッと笑っていたが矢野は黙って頬杖つき、
奏の逃げるように去る後ろ姿を眺めていた。
奏はもう一度自販機の前に立つとガラスに頭を押し付けた。
慌てたから何にするか聞くの忘れた......
ハァッとため息をついて熱を帯びた頬に手をあてた。
竹内くんが僕に笑ってくれたっ......
フニャッと顔が綻ぶ。
矢野「何ニヤニヤしてる?」
完全に油断していた背後から声がしてビクッと震えた。
奏「なっ何もっ!」
動揺を隠すように手の中にあった小銭を数えた。
矢野「何買うつもりだった?」
奏「あの…それが、聞くの忘れちゃったから」
振り向くと、トンッと手を自販機につかれ顔を覗き込まれた。
矢野「そんなに嬉しかった?」
ドキッ…
奏は黙って衝撃でずれた眼鏡をあげて顔を隠すように俯いた。
矢野「ふーん、今日飲みもんいらねぇ。
放課後の掃除当番よろしく」
じゃあな、と手を離し背を向けて歩いて行った。
矢野くんって僕をどうしたいんだろ.......
最初のコメントを投稿しよう!