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奏は脱衣所の鏡で腫れた目を押さえる。
はぁ.....恥ずかしいな、
サツキの前であんなに泣いて......。
とりあえず服も涙で濡れていたためシャワーを浴びようと蛇口を捻った。
矢野くんに嘘だってバレてたな。
そもそも僕が日頃から頻繁に竹内くんを見てたから気付かれたんだ。これからは気をつけよう。
でも正直すぐに気持ちの切替は難しい。それでも認めない限りはもう矢野くんにあんなことされたりしないはず。
サツキ「カ~ナ!」
奏「サツキ!?なんで…っ」
振り向くとサツキがニッコリ笑って堂々と全裸で入ってきた。
サツキ「だって俺もカナの涙で服びちょびちょになったんだもん」
奏「ごめん!じゃあもう僕は…」
目の前に立たれ目のやり場に困り、慌てて身を引き出ようとするがグッと腰を引き寄せられた。
そのまま抱き締められ、サツキの体にすっぽり収まってしまった。
奏「ちょっ……」
サツキ「カナとお風呂なんて久しぶり!」
無邪気な笑顔に仕方ないなと抵抗をやめた。
奏「…昔はあんなに小さくて可愛かったのに本当いつの間にか大きくなったね、学校でもモテるでしょ?」
奏は回されている腕を撫でた。
サツキとは昔も良く一緒にお風呂入ったし平気なはずなのに、もしかしたら一般的な同世代よりもサツキは発達が早いかもしれない。
身長も年上の自分なんかより10センチは高そうだしガッシリした体つきであまりの違いぶりに緊張した。
サツキ「そんなことない、カナがいない学校なんてつまらないよ」
奏「受験、頑張らなきゃね」
サツキ「カナと同じ年に生まれたかったな.......
そしたらずっと一緒ににいられるのに」
奏「........ずっと一緒にいるじゃん」
サツキ「そんなの足りないよ、全然足りない」
しゅんと悲しそうな顔をするサツキにどうしていいか分からず背伸びをして頭を撫でた。
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