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矢野はいつも竹内と一緒にいるのに正反対でクールなイメージだった。
背は2人とも180は超えてるし誰から見てもかっこ良くて、170位のド地味な奏からしたら別の世界の人間。おそらく学年の人気1番と2番はこの二人で独占していてそんな人と話せるだけでも奇跡だ。
奏は放課後、1人で箒を持って教室に残っていた。
当番は何人もいるけどいつも奏がいるとみんな帰って行く。
まぁ、もう慣れたけど.......。
外を見ると野球部が声を出しながらグラウンドで練習をしていた。
その中には竹内もいて、いつも赤いバンドを手首にしているからすぐ分かる。
普段なかなか直接見れない彼を好きなだけ眺めていられるから当番でなくてもたまに放課後残って眺めていた。本当に野球が好きなんだって誰もがひと目で分かる位練習中も明るく楽しそうで、そんな彼に周りも自然と笑顔になるような、本当に眩しい存在だった。
こんな風に掃除を押し付けられて嫌な気分がしないのもこの時間をもらえるからかもしれない。
あ、さすがにもう帰らなきゃっ!
奏は急いで残りの掃除を終わらせて、窓の外を見るといつの間にか土砂降りの雨が降っていた。
奏「最悪......すぐ止むかな」
天気予報では一言も言ってなかったのに.....
靴を履いてぼーっと外を眺める。
竹内「今井?」
ふと名前を呼ばれてビクッと横を見ると竹内がユニフォーム姿のまま立っていた。
奏「あ.......竹内くん.......っ」
ドキッ.....!
ど…どうしてここに!!
思わぬ事に手に汗が滲み出てくる。
竹内「まだいたんだ?突然降るから参ったよな」
隣の傘立てに座り笑って空を見上げる。
やっヤバイ........2人きりだ…!!
どうしよう...緊張するっ!!!
心臓の音が脳にまで響く位けたたましく鳴り始めていた。
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