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放課後、有無を言わさず学校から連れ出された。
黙ってしばらく後ろからついて歩くとやはり校外内問わず矢野は女の子の視線をひいていた。
……ちょっと離れてよう…
すっと間を置きそっ後を追っていくとオシャレな小さなカフェに入って行った。
「斗真~やっと来た!」
エプロンを着た綺麗系のスラっとした女の人が近寄ってきた。
「ささ、座って。今日はアオくんはいないのね。
新しい友達?よろしくね」
矢野「友達じゃねーよ」
奏「こ…こんにちは」
小さくお辞儀をした。
否定しなくても........。まぁそうだよね、僕なんかが矢野くんの友達になれるはずないし。
でも竹内くんも来たことあるんだ......
何が起こるのか分からず小さくなって座っていると目の前にカットされた小さめのケーキがホールで出された。
「食べて感想聞かせてね」
ウインクされ、えっ?と矢野を見る。
奏「矢野くんもしかして.....誕生日?」
矢野「ブッ.....ちげぇよ」
矢野はコーヒーに口を付けながら鼻で笑う。
奏「キレイな彼女だね」
矢野「彼女じゃねぇ!姉貴だ」
矢野は怒ったように声をあげる。
奏「ごっごめ......」
そんなに怒らなくても…。お姉さんかぁ。
あ、そういえばどことなく似てるかも....
矢野「見んなよ。さっさと食え」
奏「え…いいの?」
矢野「いいから食え、得意だろそーゆーの」
比べるように見てたのがバレてケーキをフォークで挟みお皿にのせる。
ケーキはリンゴのタルトのようだった。
美味しそう…甘党の奏はゴクンと喉を鳴らした。
奏「いただきます」
フォークでパクッと口に運んだ。
奏「.......すっごくおいしいっ!甘酸っぱくて.....でもアッサリしてて何個でも食べれそうです」
「そう!?良かったわ」
お姉さんはホッとしたように他の店員とも顔を合わせると笑って頷いた。
止まらずパクパク口に運んでいると、矢野が椅子にふんぞり返りジッと見ていて、思わずフォークを置いた。
矢野「どうした?」
奏「矢野くんは....食べないの?」
矢野「俺は新作出す度に食わされてるからいい」
いいなぁ~あれ?でも....
どうして僕が甘いの好きだって知ってたんだろ.....?
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