190人が本棚に入れています
本棚に追加
/195ページ
図書室は、灯りがしぼられているのか、薄暗い部屋だった。
窓が縦長で細く、床や壁は全て木製でわずかに埃っぽい。
ドアから入るとカウンターがあり、寡黙そうな女性が目を光らせていた。
「図書室の利用は初めてですね? 用紙にクラスと名前を」
新入生だとすぐにわかったのか、利用方法を説明された。
貸し出しは、許可がいること。
本を損傷させないこと。
日に当てないこと。
細かな注意にユーキは面倒を感じたが、書籍は貴重品であり、守らないと罰則まであった。
カウンターの手前にテーブルが三つ。
その先に本棚が横にズラリと並ぶ。
静かにそうっと、本棚に進む二人。
図書室管理の女性から、いぶかしげに見られている。
本は辞典のような物から専門的な物まで、きちんと分類され、きれいに収められていた。
学校の授業で習うのだろう、基本的な魔法の知識から、魔法薬、魔法陣学、武器の指南書、武器製造の指南書、戦闘学と様々だ。
レイが興味深そうに背表紙を眺める。
学生の域を出ない内容だが、傾向が分かれば対策が打てる。
皇国生産の書籍は貴重だった。時間があれば目を通そうと決めて、彼はユーキを探す。
先に歩いて進んだ金髪が、本棚越しに見えた。奥をうかがっている。
目的の女子生徒は本棚の一番奥、1人がけの椅子に座っていた。
ピアスに触れる。
『ユーキは離れて』
『……同姓の方が、話しかけやすくないか?』
『万が一があると、困る』
『? わかった』
金髪がちょっと離れた本棚に移動してから、背表紙に目を向けたまま、レイは奥に進んだ。
最初のコメントを投稿しよう!