プロローグ

11/17
前へ
/195ページ
次へ
レイは身長も高く、バッサリ切った茶髪は無造作で、日焼けして男らしい顔立ちだ。 なかなか格好いい容姿だろう。 そんな彼が、少し鋭い目付きで静かになってしまった教室内を見渡し、わざとユーキの背中に手を当てて、ニヤリと笑った。 無言で二人を見送ったクラス4の教室からは、何ともいえないざわめきが生まれていた。 「助かった、レイ」 「いや。この位はな、想定内ってゆーか」 校舎を出て、寮に向かう二人。 「想定内?」 レイは歩きながら、くっくっと肩を揺らす。 「ユーキの……美少女ぶりが」 ズルッとブーツが滑る。 「あぶ」 反射的にユーキの肘を掴み、ひょいと立たせるレイ。 「び、美少女とか言うなっ!」 「鏡、見てないのか?」 「見たくないっ」 「勿体ねーな」 仲睦まじく、プンプン怒るユーキの頭をポンポンしながら、レイは道を確認した。 「寮はこっちだ」 むーとしながらも案内についていけば、木立の中になかなか瀟洒(しょうしゃ)な建物が見えてくる。 三階建ての横長の建物が三棟、学生寮だ。 レイは一番奥の建物に向かう。 新入生の寮は、一番奥らしい。 真ん中に1段段差があり、柱のついた出入り口の(ひさし)に、彫刻がされている。
/195ページ

最初のコメントを投稿しよう!

191人が本棚に入れています
本棚に追加